SIerとSESの違い!SES(客先常駐)のインフラエンジニアはやめとけ?【女性SEが紹介】

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インフラエンジニアについて情報収集していると、

”SIer””SES”という単語が目に入りますよね。

 

SIerはシステム構築や運用を請け負う企業を指し、

SESは準委任契約という契約の種類を指します。

 

SIer企業はSES契約でエンジニアを派遣していることが多いです。

 

SES契約はほとんど客先常駐のため、

「やめとけ」というネガティブな意見もあります。

 

この記事では、

SIerとSESの違い、

SES契約で働くメリット/デメリット

を紹介します。

 

わたしは独立系SIerで10年以上インフラエンジニアをしています。

客先常駐も通算7年くらいしました。

 

これからインフラエンジニアになる人は、

SIerやSESについて理解しておいてくださいね!

 

SIerとは?

 

SIerとはシステムインテグレーターを指し、

システムを構築開発したり、運用や保守までを一括して請け負う企業のことです。

 

企業が ITシステムを導入しようと考えた時に、

自分の会社で専門知識を持ったエンジニアを雇うのはコストがかかります。

 

そこで、システムインテグレーターにシステム構築を一括してお願いすることで、

システムという成果物に対するコストを払って構築・運用ができるのです。

 

システムインテグレーターには大まかに3種類あります。

ユーザー系 SIer:

 

親会社がIT系以外のSIer企業。親会社が銀行や証券会社、自動車などが有名です。

基本的に親会社のシステムを開発・保守するので、社内SEに近いイメージ。

 

メーカー系 SIer:

 

親会社がIT系のSIer企業。

 

自社の製品を扱うことが多いので、知識分野に偏りがある反面、

親会社から仕事が下りてくるので安定している。

 

NECやNTT、富士通などが該当します。

 

独立系 SIer:

 

親会社を持たないSIer。大企業から中小企業、ベンチャーまでさまざま。

 

扱う製品やシステムに縛りがないので、自由度が高いです。

親会社がないので、自分で案件を獲得し続ける必要があります。

SIerの中でも独立系SIerが大多数を占めます。

SESとは?

SES とは企業の種類ではなく契約形態の名前です。

SES(システムエンジニアリングサービス)は準委任契約を指します。

 

その他の契約形態

準委任契約以外の契約形態は3つあります。

 

・請負契約

・委任契約

・派遣契約

 

SES契約で働く場合もシステムの導入から運用保守までを行いますが、

請負契約とは違い、システムの完成品に義務を負いません。

 

SES 契約はエンジニアの労働時間に対してお金が支払われます。

 

SES はお客様のシステムを導入/運用保守するので、

客先常駐であることがほとんどです。

 

客先常駐とは、お客様のオフィスやお客様が管理するスペースで作業すること。

外部の人間から見ると、お客様先の社員のように見えます。

 

外部とのやり取りではお客様企業を名乗ります。

 

A社の社員でもB社に常駐している場合は、

「B社の〇〇(名前)です。」となります。

 

SIerとSESの違い

 

SIerは企業を指す言葉、SESは契約形態を指す言葉です。

相反する言葉ではないので、SIerでもSES契約はあります。

 

SES 契約が主なSIerをSES企業と呼ぶこともあります。

 

わたしが勤めているのは独立系SIerの中小企業です。

 

インフラエンジニアはSES契約の客先常駐がほとんどで、

アプリケーションエンジニアはSES契約と請負契約があります。

SESと派遣の違い

SES はエンジニアの労働時間に対してお金を払うので、

「SESは派遣と同じ?」と感じた人も多いでしょう。

 

たしかにSES契約はエンジニアの派遣契約ともいえますが、

1つ大きな違いがあります。

 

それはお客様からの指揮命令権があるかどうかです。

 

SES は指揮命令権はあくまで自分が所属する会社にあります。

派遣は派遣先の会社に指揮命令権があります。

 

SESの偽装請負問題

指揮命令権がどこにあるかというのを理解せずに SES 契約をしている企業は、

偽装請負のリスクがあります。

 

SES 契約なのにお客様の指揮命令に従って作業をさせていると、

労働派遣法の偽装請負に当てはまってしまうのです。

 

法律違反になるので罰則を受けることに…

 

偽装請負にならないためには

作業指示を受ける際のルールをお客様も含めて確認することです。

 

具体的には、

お客様からの指示や命令は会社の代表者(リーダー)を窓口にします。

 

私が以前 SES 契約で働いた時は、

お客様からの作業指示は必ず責任者の印が押された文書で渡されました。

 

個人間のやり取りで済まさず、

会社間の取引として残しておく必要があります。

 

もしSES契約なのにお客様から直接作業を指示されたら、

上司や現場のリーダーに相談しましょう。

「SESはやめとけ!」は本当か?

 

インターネット上では、

SES契約は悪者でブラック企業の象徴であるかのような情報が多いです。

 

たしかにお客様や自分の会社がSES 契約のルールを認識していないと、

本来はお客様がやるべき仕事を押し付けられたりと苦労する面もあります。

 

ただ、SES =全て辛い、デメリットばかりというわけではありません。

 

SES(客先常駐)のメリット/デメリット

 

SES(客先常駐)のメリット/デメリットを紹介します。

 

インフラエンジニアはユーザー系SIer以外はSES契約をすることが多いので、

メリット/デメリットを理解しておきましょう。

SES(客先常駐)のメリット

 

・レベルが高い仕事のやり方が学べる

基本的に自分より規模の大きな会社のプロジェクトに参画するので、

レベルの高い仕事を間近で見ることができます。

 

尊敬できるロールモデルを(こっそり)決めて、

その人の仕事のやり方を研究すると自分の仕事のレベルもどんどんアップします。

 

常駐先の企業が主催する勉強会などに出席させてもらえたり、

技術的な資料が読めたりするのでスキルアップに最適です。

 

エンジニア2年目のときに常駐先のリーダーはとても仕事のできる人。

 

計画の立て方、チームメンバーへの声のかけ方、

会議の進行の仕方、障害対応時の進め方など。

 

仕事のやり方を逐一チェックしていると、とても勉強になりました。

 

・人脈が増える

客先常駐でプロジェクトを色々と移動するうちに知り合いが増えます。

 

インフラエンジニアは他のチームと協力して仕事を進めることが多く、

大規模なプロジェクトを一緒に完遂させたときは、

他社のエンジニアでも仲間意識が生まれたりします。

 

「会社が倒産してしまったエンジニアが、

客先常駐先で知り合った会社に拾ってもらった」

などの話はよく聞きます。

 

IT企業と聞くとドライな印象があるかもしれませんが、

けっこう横のつながりを大切にします。

 

ただ待っているだけでは人脈は増えません。

積極的なコミュニケーションや良好な関係を築く努力は必要です。

 

・転職のチャンスが増える

客先常駐をしていると引き抜きや転職のお誘いがあります。

特にお客様から引き抜きがあれば一気にキャリアアップするチャンスです。

 

これはあまり大きい声では言われないメリットですが、

新卒や転職活動をして入社するよりも入りやすいと思います。

 

すでに一緒に働いている信頼があり、口利きもある状態なので、

条件が合致すれば容易に決まります。

 

最初から引き抜き目的で客先常駐する人はいないと思いますが、

仕事振りを評価されれば引き抜きのチャンスも転がっているのが客先常駐です。

 

SES(客先常駐)のデメリット

SES(客先常駐)にはデメリットもあります。

 

・自分の会社への帰属意識が薄くなる

お客様先で働いていると、自分がどこの社員なのか分からなくなることがあります。

 

実際に毎日顔を合わせるのは、お客様先のプロジェクトにいるお客様や他社の社員。

自分の会社の人には年に数回しか会わない、ということもあります。

 

客先常駐が多い会社は、

月に1回ほど帰社日(という名の飲み会や報告会)を設定していることが多いです。

 

客先常駐プロジェクトが多い会社では、

会社への帰属意識を高めようと苦労しています。

 

帰属意識が少ない社員はかんたんに転職してしまうからです。

 

・気軽に相談できる人がいない

所属している会社の規模によりますが、

客先常駐をするプロジェクトに自分の会社の社員がいない・少ないことがよくあります。

 

新卒や若手社員だと、

客先常駐先でわからないことがあったときに

気軽に聞ける自分の会社の先輩がいないのはきついです。

 

ITでは専門用語が多い上に、独自のローカルでしか通じない専門用語もあります。

(〇〇系列のプロジェクトでしか通じない言葉など)

 

何年も経験があれば文脈から理解できますが、

経験が浅い場合は仕事に慣れるまでにだいぶ時間がかかります。

 

数人のチームで常駐することを基本としている会社を選びましょう。

客先常駐は肩身が狭い?パワハラが心配?

「お客様先だと肩身が狭そう、パワハラを受けそう」と心配する人もいます。

ただ、大規模なプロジェクトでは客先常駐のエンジニアの方が多数派です。

 

私が今まで客先常駐したプロジェクトでは、

お客様のプロパー社員は全体の10~30%しかいませんでした。

 

会社に直接雇用されている社員をプロパー

SES契約などで客先常駐している人はパートナーと呼びます。

 

プロパー社員からすれば、パートナーのエンジニアがいなければ仕事が回らないので、

横柄な態度をとるような人はほとんどいません。

 

パワハラ的な態度を取る人にはほとんど遭遇しないですが、

万が一パワハラを受けたら、

自分の所属する会社の上司や相談窓口に相談しましょう。

エンジニア未経験者は SES 企業も候補に入れよう

 

ネット上でSES契約や客先常駐エンジニアのネガティブな印象が強いせいか、

最初から客先常駐するエンジニアを候補から外して転職活動している人もいます。

 

経験者ならそれでも少しは求人がありますが、

未経験なら自社開発や一次請けの会社に転職するのは難しいです。

 

SES 契約が多い企業はエンジニアの人数が売上に大きく影響します。

 

なるべくたくさんのエンジニアを育てて派遣したいと考えているので、

未経験者でも20代~30代前半なら採用されやすいです。

 

SES 契約の会社だとしても、

実務経験をしっかり積めばスキルアップできますし、

人脈も手に入ります。

良いSES企業の見分け方

”良い”というのは、具体的には働きやすさとスキルアップの可能性を指しています。

 

良い SES 企業とは、

なるべく上の商流で案件を受注できている企業です。

 

商流とは?

商流とは受発注の流れのことです。

 

よりお客様に近い位置(浅い位置)で受注するのが望ましく、

深くなるほど中間マージンが発生して利益が少なくなります。

 

商流が深くなればなるほど、

誰でもできる仕事・給料の安い仕事・スキルアップが見込めない仕事が多くなります。

 

上の商流で受注できている会社か見極めるポイントは2つあります。

上流工程の仕事が多いか

 

上流工程とは要件定義や設計の工程です。

上流工程は難易度が高いので、技術的に評価される経験を積むことができます。

 

ホームページの事業内容や事例などで上流工程が多いかどうか確認しましょう。

面接で上流工程と下流工程の比率を聞いても良いと思います。

 

チームで常駐しているか

上流の工程から担当している企業は、チームで常駐している率が高くなります。

 

一人で常駐している場合は、

足りない作業の補填要員、単純作業のマンパワーとしての派遣が多いです。

 

また、一人で派遣されると、

最初は気軽に相談する相手がおらず精神的にも孤独になりがち。

 

新卒や未経験なのに一人で派遣するような会社はブラック率が高いです。

 

社員数の多い会社ならチームで常駐できるパワーがあると推測できるので、

こちらもホームページや面接で確認しましょう。

 

わたしの所属する会社は社員数500名程度で、

5~10人くらいのチームで常駐することが多いです。

 

社員数が少ないのにプロジェクト数が多いと、

それぞれ別のプロジェクトに行っている可能性があります。

 

1人プロジェクトばかりで教育体制が整っていないかもしれません。

まとめ:SIerとSESは別物!SESもそんなに悪くない

SES 契約が多い企業は、インターネット上で悪く言われ過ぎているなと思います。

 

確かに労働環境が悪く精神的に辛い現場もありますが、

企業の事業内容や規模を見ればどのぐらいの位置で受注しているか分かります。

 

未経験者は客先常駐があり得る会社を選択肢から外すと、

候補の企業が極めて少なくなってしまいます。

 

エンジニアを目指す人にとって未経験であるという状態はいち早く解消すべき。

 

なかなか転職先が決まらないなら、

SES 契約が多い企業で経験を積むのものも良いでしょう。

 

その時は必ず候補企業の実態をしっかりと確認して下さいね。

 

もし自分で判断に不安がある場合は、

IT業界専門の転職エージェントにサポートしてもらうのが良いです。

 

転職エージェントは書類審査や面接を突破する術を教えてくれるだけではなく、

志望企業の事業内容もしっかり把握しています。

 

未経験者が判断するのは難しいので、プロの意見を聞くことをおすすめします。

 

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