お砂糖とスパイスと爆発的な何かの感想:男の子/女の子は何でできているの?

記事内に広告を含みます

先日、『お砂糖とスパイスと爆発的な何か』というフェミニズム批評の本を読みました。

 

著者は北村紗衣さん。

武蔵大学で英米文化学を教えている女性です。

 

SNS上でも著名な方だそうですが、わたしはこの本がきっかけで知りました。

 

内容は面白かったのですが、

1番興味を惹かれたのは本のタイトルです。

 

『お砂糖とスパイスと爆発的な何か』

マザーグースの歌”What are little boys made of?”の歌詞をもじってつけられたもの。

 

気になる歌詞の内容と解釈、

ステレオタイプにとらわれない思考について考えさせられました。

男の子は何でできているの?の歌詞

マザーグースの歌詞は次の通りです。

What are little boys made of?

What are little boys made of?

Frogs and snails

And puppy-dogs’ tails,

That’s what little boys are made of.

 

What are little girls made of?

What are little girls made of?

Sugar and spice

And all that’s nice,

That’s what little girls are made of.

 

↓日本語訳

男の子は何でできているの?

男の子は何でできているの?

カエル※やカタツムリ、

子犬のしっぽ、

そんなものでできているよ。

 

女の子は何でできているの?

女の子は何でできているの?

お砂糖やスパイス、

素敵な何か

そんなものでできているよ。

 

※カエル(Frogs)ではなく、ボロ切れ(Snips)という地方もあるそうです。

スポンサードリンク
 





 

男の子は何でできているの?歌っているのは女の子?

『お砂糖とスパイスと爆発的な何か』の前書きには、

タイトルについてこのように書いてありました。

…私はこの女の子が「ナイス」(nice,つまり「素敵」)なものでできているというのがどうも引っかかってイヤだなと思ったので、そこを変えました。私たちは別にナイスなものではできていないし、ナイスになる必要なんてないんだ、という意味をこめたタイトルです。

(出典:『お砂糖とスパイスと爆発的な何か』まえがきp.17)

 

 

女の子=素敵なものも確かに引っかかりますが、

わたしは男の子=くだらないものも引っかかりました。

 

男の子のこと、バカにしてるのかな?

 

わたしには、

くだらないことで夢中になれる男の子を冷めた目で見てる、

ちょっとおませな女の子の歌に聴こえました。

(かわいらしいですけどね)

 

英語の詞は韻を踏む文化があるので、それを当てはめただけとも言えます。

Snails ー Tails
Spice  ー Nice

 

でも男の子は具体的な物3つの羅列なのに、

女の子は”とにかく素敵なもの!”と言っているようでやっぱり主張を感じてしまいます。

 

そこがジェンダー的なひっかかりなのかも…

そういう違和感を大切にしていろいろ考えたら批評になるのかな?

sugar and spiceの引用例

ちょっと検索してみたら、

椎名林檎さんの歌詞や山田詠美さんの小説のタイトル、モデル事務所の名前にもなっていました。

 

有名なのはパワーパフガールズの冒頭ナレーションです。

科学者のユートニウム博士がお砂糖とスパイスと素敵なものをいっぱい混ぜて可愛い女の子を作ろうとしたら、

間違えてケミカルXを入れてスーパーパワーを持つ女の子ができた

ケミカルXとは謎の化学物質でスーパーパワーの源なのだとか。

 

女の子の歌詞は2番ですが、

男の子の歌詞よりもインパクトがあっていろんなところに引用されているのですね。

スポンサードリンク
 





 

ステレオタイプにとらわれない子育て

歌自体は可愛いのですが、

歌詞に含まれる男の子/女の子のステレオタイプが気になります。

 

良くも悪くもスポンジのような吸収力の子どもには、

ステレオタイプにとらわれない自由な発想を持ってほしい。

 

わたし自身がステレオタイプな発言・行動をしていないか

よく気を付けようと思いました。

 

ステレオタイプな発言の例

 

・「女の子だからピンクね/男の子だから青ね」

 

・「男の子なんだから泣かないの!」

 

・「女の子なんだから足広げちゃダメ」

 

・「男の子/女の子はそんなことしないんだよ~」

ステレオタイプな行動の例

 

・女の子にだけ料理を手伝わせる

 

・男の子にだけ虫取り網を買ってあげる

 

・性別だけで習い事を決める(女の子はピアノ、男の子はスイミングなど)

ステレオタイプは性差だけでない

男の子/女の子のステレオタイプだけでなく、

無意識のうちにいろいろな固定概念がはびこっています。

  • 国籍
  • 出身地
  • 経済的地位
  • 年齢
  • 職業
  • 趣味    など

 

親は子供に一番身近な存在です。

自分の発言/行動で子供の可能性や思考を狭めたくありません。

 

一つの作品をいろいろな視点から見る批評のように、

自由に考えることは視野が広がります。

 

ジェンダー論はフェミニストだ、女性の逆差別だ、穿った見方だとよく批判されますが、

根強く染みついている常識・偏見・固定概念を1つずつ捨てていく作業だと感じました。

まとめ:批評で隠れた檻を壊そう!

『お砂糖とスパイスと爆発的な何か』

知識を得るというより楽しい頭の体操のような本でした。

 

読む前は日常に活かせるような内容ではないと思っていましたが、

物事を多角的に自由に見るとはどういうことかを教えてくれます。

 

まえがきで、著者は固定概念を檻に例えています。

 

檻の中からではなく、

キングコングになったつもりで檻をブチ壊してみてほしいのだとか。

 

わたしはキングコングになれたかな?

 

紹介されている作品をもう一度読んでからまた読もう!

 

ステレオタイプについて考えさせられる、良い題材でした。