『AI vs 教科書が読めない子どもたち』の感想:AIに勝つために必要なことは?

記事内に広告を含みます

読もうと思って積読してしまっていた『AI vs 教科書が読めない子どもたち』

子どもが小学校に入る前に読めてよかったです。

 

↓2019年ビジネス書大賞の大賞を取ったそうです。

AI vs 教科書が読めない子どもたち

 

この記事では、

 

『AI vs 教科書が読めない子どもたち』の感想、

AIに勝つために必要なこと

 

を紹介します。

 

文章は冷静で丁寧なのに、危機感でゾッとしました。

AIに勝つために必要なこと⇒柔軟性

重要なのは柔軟になることです。人間らしく、そして生き物らしく柔軟になる。そして、AIが得意な暗記や計算に逃げずに、意味を考えることです。生活の中で、不便に感じていることや困っていることを探すのです。p.279

 

AIは万能ではない、AIは所詮コンピュータで計算機である、というのは

ぼんやりと理解していました。

 

AIの得意分野(暗記、計算、フレーム内での処理)では戦わず、

人間にしかできないことを伸ばしていけば良い。

 

むしろ、そうしなければ生き残れないということが分かりました。

 

【AIの弱点】

 

・万教えて一学ぶ

 

・応用が利かない

 

・柔軟性がない

 

・決められた枠組みの中でしか計算できない

 

⇒柔軟性や発想力が人間の武器になる

 

著者はいろいろなテスト結果から、

子どもたちの読解力を基盤とするコミュニケーション力を憂慮しています。

 

掲載されているテスト結果は衝撃で、

思った以上に文章の意味を理解していない子どもが多いんだな~と実感。

AIによる世界恐慌がくる?

著者は、AIによる世界恐慌が起こると予測しています。

 

AIによって代替できる労働をしていた人たちは職を失います。

それなら、失業者がAIによって生み出された新たな仕事に就けばすべて解決!

 

でも、そううまくはいきません。

 

AIによって代替できる労働をしていた人たちは、

より高度な人間らしい柔軟性を発揮する仕事を処理する能力がないからです。

 

人手不足なのに失業者が溢れる、という時代が来るのだとか

 

AIに代替されない能力を持って仕事を続けられる人も、

失業者が増えれば恐慌の波に飲まれていきます。

 

例えば、クリエイティブな創作料理を出すシェフがAIに負けない想像力を持っていても、

食べに来てくれるお客さんがいなくては結局失業してしまいます。

 

AIによる恐慌は個人の能力開発の成功/失敗ではなく、

社会全体の問題なのです。

 

恐慌を防ぐためには、

教育を変えてこれからの子どもたちの能力を底上げするしかありません。

スポンサードリンク
 





 

読解力を伸ばすにはどうしたら良い?

今の日本の教育は、AIに代替できる能力を重視する仕組みになっています(暗記、計算)。

 

これからはAIにできない人間らしい能力を育てる教育が必要です。

 

それでは、「どういう教育をすれば読解力が養えるんだ?」と思ったら、

科学的に実証された効果のある方法はまだないそうです。

 

特効薬はないが、精読・深読にヒントがあるかも?と仰っています。

やっぱり読書なんですね!

 

デジタルドリルとストーリーのある商品

本書を読んで強く心に残ったことは2つあります。

デジタルドリルで身につく能力はAIに代替される

デジタルドリルは、読解力が身につかない限りある時点から学力が伸び悩みます。

反応的に解けば正解できるのはせいぜい中学生くらいまで。

 

わたしは学生時代に塾講師をしていたので、

急に伸び悩む中学生にたくさん会いました。

 

中学校の定期テストや県共通の高校入試問題はサクサク解ける。

 

しかし、独自入試問題を用意している進学校の問題は歯が立たない。

問題文の意味は分かるのに、問われていることが分からないという状態でした。

 

そのときは私の力不足で原因がわからなかったのですが、

恐らく問題をよく読まずに解ける限界点に到達したのだと思います。

 

デジタルドリルとの付き合い方を考え直そう…

 

デジタルドリルはデジタルで正誤判定できる問題しか出ません。

 

デジタルで白黒つけられるフレームワークで処理する能力は、

AIが一番得意とするところです。

ストーリーがある商品

AIは同じ商品を大量生産するのが得意です。

 

反対に、AIが作れないものはストーリーのある商品。

 

バックグラウンドに作り手の存在や思いを感じることができる商品は、

人間にしか作り出せません。

 

モノそのものの価値にプラスして、

誰が作っているか、どういう経緯でここに売られているかが重要です。

 

また、人間らしい悩みを解決するサービスも需要があります。

 

人間らしい感情や悩みに寄り添った商品やサービスがAIに代替されずに残るのだそうです

 

そのためには想像力や共感力が必要!

 

スポンサードリンク
 





 

子どものために何ができるか

AIに負けない子どもにするために、子どもにしてあげられることを考えてみました。

  • 本を読む(想像力が必要な本を選ぶ)
  • 本を読んだ後に内容を話し合ってみる
  • いろいろな体験をさせて自分で考える癖をつける
  • 反応的な学習アプリは利用しない(ゲーム感覚のドリルなど)
  • 選択式でなく、文章で書かせる問題集を選ぶ

 

AIに負けない子どもにすることは、

その子の幸せのためであると同時にAI恐慌を防ぐ術でもあります。

まとめ:AIに取って変わられないために教育を変える

・AIに勝つために必要なのは人間らしい柔軟性

 

AIの苦手な能力=人間らしい能力を伸ばす

 

AIに代替されない仕事ができる能力が必要

 

・読解力を伸ばす確実な方法は実証されていない

 

デジタルドリルで読解力は身につかない

 

ストーリーのある商品/サービスはAIに代替されない

 

AIに負けない子どもを増やしてAI恐慌を起こさない

AIは人間の生活をより豊かで便利にしてくれるもので、

人間と対立するものではありません。

 

しかし、AIに代替される人が増えれば職を失って不幸になる人が増えます。

 

これからはAIに任せるところは任せて、

人間にしかできない能力を集中的に伸ばす戦略の必要性を感じました。

 

特効薬はないので、まずは読書と親子の会話かな